右翼と左翼
- 作者: 浅羽通明
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2006/11/01
- メディア: 新書
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確かに、いまどきの若い人によく質問される
右翼と左翼の違いって何?
しかし今時の年寄りも、説明に困るんだよな……
「韓国の反日運動は、右翼か左翼か?」
「えっと、民族主義なので右翼」
「ブー! 反日帝なので左翼で〜す」
「じゃ、アメリカのフェミニストが押しつけてくる男女共同参画やジェンダーフリーを推進しようとする側が右翼で、それに反して、古きよき日本の伝統を守れと主張するバックラッシュ側が左翼なのか?」
「えっと……」
捻れてる、捻れてるなー
結局、その捻れを解きほぐして、全部、説明しようとすると、フランス革命史から解き明かして、現代に至るまでの世界史、日本史を全部説明しなくてはならなくなる。
著者はあとがきで、こんな本は誰にでも書けるが、誰も書かないから、自分が書いたと主張しているけど、確かにそのとおり。次に若い子から「右翼と左翼って何ですか?」 と尋ねられたらこの本を紹介しておこう。こんな便利は本は、他にはない。
唯一、この本の目玉は、「宗教」と「民族」が絡むと、右翼と左翼の区別はあまり意味をなさなくなってしまう理由について説明していること。右翼、左翼と言っても、所詮は「未来に地上に実現すべき正義」を基準に、既にそれに到達していると主張する保守とまだ到達していていないとする革新の対立にすぎないわけだから、ある意味、同じ穴の狢。
しかし宗教の基準は神や仏の視座から「常に天より見下ろす正義」だから、その基準からはみだしてしまうわけだ。