一転、冥王星、ついに星転換


エッジワース=カイパー・ベルトとオールトの雲


先日、書いた冥王星の星転換問題。プラハ天文学者の会議が紛糾し、一転して惑星じゃないことになりそうです。





サンスポ

http://www.sanspo.com/shakai/top/sha200608/sha2006082401.html

冥王星が惑星から降格?3個増やす案を早くも修正、総会で決着へ
冥王星が太陽系惑星から“クビ”の危機に直面していることが23日、分かった。プラハで総会開催中の国際天文学連合(IAU)が、太陽系惑星の数を12個に増やす原案を修正し、逆に冥王星を除き8個に減らす案をほぼまとめた。日本時間で24日深夜にも修正案通りに可決される見通し。日本でも教科書の出版社が輪転機を止めるなどして、“リストラの星”の行く末を見守っている。


冥王星よ、オマエもか…。リストラ組から同情の声が噴出するかも?

冥王星が太陽系惑星の地位から降格の危機に立たされている。そのきっかけは16日に公表された惑星「3増」の原案。冥王星とその周辺の小天体を「冥王星族惑星」と呼んで惑星に昇格させたことと、冥王星の衛星とされていたカロンを惑星と認定したことの2点に対し、天文学者から異論が続出。原案修正を余儀なくされたのだ。

修正案は、惑星の定義を「十分な質量があってほとんど球形で、恒星の周りを回る、恒星や衛星以外の天体」とする原案に「その領域(軌道)で特に大きいもの」との条件を追加。月の7割ほどしかない冥王星は条件から外れ、惑星とは別の「矮(わい)惑星」に分類されることに。

修正案は24日午後(日本時間24日深夜−25日未明)の総会で、出席者の投票で採決される。日本からの参加者によると、冥王星と同サイズの天体が最近、太陽系で次々と見つかっていることから“惑星インフレ”が懸念され、冥王星の惑星除外に賛同する会員は多く、可決の可能性が高い。

可決されれば冥王星は1930年の発見から76年で「太陽系9番目の惑星」から降格。否決されれば、太陽系の惑星を定義し直すこと自体が見送られることになる。

「水金地火木土天…」と暗記した太陽系惑星だが、大変なのは受験生。都の高等学校教育課入学選抜係によると、可決されれば来春の都立高校の受験に反映させるという。全国121万人の中3生に影響するほか、全国に349万人いる高校生も他人事じゃない。

天文学連合の“メイ走”に、理科の教科書を出版する出版社もてんやわんや。大日本図書では、中3向け教科書から太陽系惑星の記述が登場する。「来春用に夏に印刷しますが、報道を受けて40万部弱の印刷をストップさせています。間に合わずに一部を修正することになるかも」。例年9月から印刷する東京書籍は「文部科学省に訂正申請してから承認されるまで時間がかかる。国内の学会の判断もある。現時点ではギリギリか」と“大メイ惑”だ。

タロット占いでは「破壊」「革命」などの意味を持つ冥王星。騒動の影響は天文学的数字か?

★天命より“店メイ”
東京・原宿には「水金地火木土天冥海」という名称の女性服飾雑貨のセレクトショップがあるが、同店は名称“存続”を明言した。

同店は20〜40代女性をターゲットに5年前にオープン。16日に原案が公表されて以降、客から「名前はどうなるんですか?」と質問されるという。スタッフは「冥王星の残留・降格に関係なく日本をコンセプトにした世界観は変わらずにいく予定です。でも採決には店員全員で注目しています」。

結局、ホルスト組曲「惑星」*1にある星だけになってしまった。


考えてみれば、そもそも惑星とは、動かない恒星に対して、「惑う星」と定義しているわけだ。
ガリレオ・ガリレイが望遠鏡を発明する以前なら、肉眼で観測できる星の動きを元に、空の星を恒星と惑星に分ければよかった。
さらに、彗星と流星を加えれば、全天のすべての星が分類できてしまう。

それがガリレオが望遠鏡を発明して以来。
まずは月以外の衛星が発見され、小惑星が発見され、天王星海王星などの星が次々と発見されていき。
惑星なんだか、彗星なんだかわからない星が、続々と見つかったというわけだ。

定義か変わるというのは、こういうことかもしれないなあと思う。

考えてみれば、巨大天体望遠鏡だの観測衛星だのがある21世紀まで、はっきりと「惑星」を定義せずに、慣例的な呼称でよく平気だったものである。

スポニチ

http://www.sponichi.co.jp/society/news/2006/08/24/02.html

冥王星の太陽系除外で多方面に影響

よくある誤解。いや冥王星は惑星じゃなくなるだけで、太陽系から除外されるわけでは……


秋田魁新報社
http://www.sakigake.jp/servlet/SKNEWS.NewsPack.npnews?newsid=2006082301006007&genre=science/environment

■科学・環境
「惑星は8個」で決着へ/冥王星は除外の見通し


 国際天文学連合は23日までに、太陽系惑星を冥王星を除いた水星から海王星までの8個とする修正案をほぼまとめた。日本からの参加者によると案に賛同する会員が多数で、修正案通りに可決される可能性が高いという。

 冥王星が除外されるのは、周辺の天体に比べ特に大きくないため。可決されれば「9番目の惑星」としてなじみ深い冥王星が惑星でなくなることから、教科書の書き換えが必要になるなど、多方面に影響が及びそうだ。

 プラハで開催中の総会で24日午後(日本時間24日深夜−25日未明)に採決する。

 修正案では、原案で惑星の仲間に格上げしていた冥王星などの比較的小さな天体を惑星とは別の「矮(わい)惑星」に分類する。また、矮惑星にも含まれないほかの天体は「太陽系小天体」と呼ぶとしている。


(2006/08/23 21:12

この記事が、いちばんすっきりしていてわかりやすかった。


まだ仮説だが、冥王星の向こうにはエッジワース=カイパー・ベルトという、小天体の集合した土星の輪の太陽系バージョンみたいなものがあるらしい。
冥王星も、実はその輪を構成している一つの天体。
探せば、似たような星が続々と見つかってしまって、惑星の数が万を超えてしまうかも……ということらしい。
さらにエッジワース=カイパー・ベルトを包むように、オールトの雲と呼ばれる小天体の群が球形に太陽系全体をくるんでいるようだ。

エッジワース・カイパーベルト - Wikipedia
オールトの雲 - Wikipedia

オールトの雲の質量の合計は、少なくとも木星の質量以上はあり、太陽を除く太陽系の全質量のかなりの部分を占めると考えられている。

リストラどころか、太陽系の中では、「惑星」のほうが、少数派なのであった。

*1:ホルストが作曲した当時、冥王星は発見されていなかった